兵庫県 H様より
7.3寸の木製重箱 フタ2枚と身3段での修理依頼をいただきました。
蒔絵のつながりなどを拝見する限り、もともと4段あったようなのですが現在は3段しかないということでした。
状態も表面のはがれが激しく蒔絵を残しての部分修理は難しいという判断から、すべて蒔絵も描き直すことになりました。せっかくなので、1段・2段・3段でも使えるようなアレンジで蒔絵師さんに描いてもらうことになりました。
漆が下地から剥がれて木肌が見えている部分が多い状態でした。これだけ漆の密着が弱いと部分修理をしたとしても結局はしなかった部分が近い将来剥げてしまうでしょう。
蒔絵の部分も場所によってはヒビも入っており助けられない状態でしたので、同じような蒔絵を施す方向で見積もりさせていただきました。
約3ヶ月ほどかかりましたが、すべて塗り直して新品同様の重箱になりました。
この後、蒔絵の加飾工程に入ります。
約2週間で蒔絵完成です。
3段の場合は、写真左の状態。
2段の場合は写真右の状態にフタをつけます。
1段の場合は、写真左の上の部分を使います。
本金蒔絵を使って描いているので、実物でみるととても美しい仕上がりだと思いました。
☑ 約4ヶ月
☑ 約8万円~10万円
大きさ、重箱のフタと身の枚数、修理方法で修理費用は変わりますのであくまでも目安としてお考えください。
今回は重箱4面とフタ2枚に本金蒔絵を施しました。
産地によって、漆の上塗りを施す前の下地が違います。
この重箱は泥下地といって、越前漆器産地ではやらない下地方法でした。産地は違っても、修理できるものとできないものがあり、今回も勉強になりました。
修理の御依頼をネットで承るようになってから、他にも見たこともないような技法を施した漆器を拝見することができるのも楽しみの一つとなっています。