このサイトを通じてお問い合わせいただくお客様のほとんどが漆塗りの漆器の塗り直しです。
以前にも同じようなことをブログに書いているかもしれないなと思いながらも、ここ最近の問い合わせに多かった「朱の漆の色」に関する回答をこちらにまとめておきます。
朱漆での塗り直しは同じ色にはならない
漆の朱の色は、元の色と同じには仕上がらないと思ってください。
部分修理をすると、上の写真のように塗り直したところと直さなかったところが明らかに違うのがわかります。
実際、これより目立たない仕上がりになることもありますが、全く同じにはなりません。
他の朱の漆塗り事例も紹介します。
お椀のフタの表面一部に漆の剥がれが見られ、その部分のみ塗り直しました。
これも、色の違いが目立ちますね。
続けて、こちら↓
銚子の持ち手の付け根部分が取れてしまい、その部分を接着し、付け根部分だけ朱の漆で塗って仕上げました。
写真では、色の違いがわからないですが、実際見ても、それほど気になりませんでした。
このように、色が違っても気にならない場合もあります。
なぜ、朱の色が同じにはならないのか?
朱の漆の色が同じに仕上がらない理由はいくつかあります。
- 漆は経年変化するから
天然素材の漆は、塗りたて濃い(黒っぽい)色に仕上がり、年月を経て徐々に明るく変化していきます。
朱の漆も最初は黒っぽい朱で仕上がり、どんどん明るくなるため、元の明るい朱の漆の色に近づいてはいくのです。
- 使う朱色の漆が違う
職人によって普段使っている朱の漆の色が違います。
朱色といっても、黒っぽい朱だったり、黄色っぽい朱だったり。
また、すごく昔の漆器の朱で、今ではあまり使われていないものだったり。
修理品のように、数がまとまっていない場合は、それだけのために漆を合わせなくてはいけません。
少ない量のために高価な漆を買うことは、なかなかできません。
このようなことをご了承いただいた上で修理を承っておりますので、ご理解いただければ幸いです。