「白木の曲げわっぱ弁当箱のフタ(またはお弁当箱本体)の枠が取れてしまった」
時々このようなお問い合わせいただくので、こちらに書き留めておきます。
いわゆる接着だけのお直しをご希望で、
自分で接着しようかと思ったけど、食材を盛るお弁当箱だけに安全性はどうなの?
と疑問に思われて、お問い合わせをいただくのかなと思います。
このようなお問い合わせに対しては、
「お買い上げいただいたお店で接着の修理が可能かどうか、
または、どのような接着剤を使って接着すればいいかを聞いてみてください。」
というような受け答えをさせていただいてます。
白木のお弁当箱の接着のみの修理は、基本承っておりません。
なぜなら、接着剤の安全性については私たちも責任が持てないからです。
曲げわっぱの製造元であれば、食品衛生法に適した接着剤を使っているはずですので、安心して修理に出すことができます。
もし、ご自分でネットで検索するのであれば、
木工用で、耐水性で、且つ食品衛生法に適合している接着剤を探してみてください。
100%天然の接着剤といえば、「漆」です。
私たちは、糊漆で金継ぎする陶器を接着したり、錆漆で凹みや欠け部分を埋めたり、普段から漆を使って直していますが、問題は漆の色が茶色いことです。
漆は茶色なので(空気に触れるとさらに濃い黒っぽい茶色になる)、白木のお弁当箱だと接着した周辺が茶色く汚れてしまい、接着には向いてないかなと思います。見た目は気にしないという方もいらっしゃるかもしれませんが、汚い仕上がりが想像出来てしまいます。
しかも漆は乾きがゆっくりなので、接着してから2週間から1ヶ月ほどは置いておく必要があります。
接着した後、漆の錆を埋めて、全体を拭き漆で仕上げるということは可能です。
色むらは出来ますが、天然素材ゆえのこととご理解いただいて作業を進めています。