· 

お椀の寿命や、普段のお手入れについて

気づけば9月、今年もあと3分の2、後半戦に入りました。

 

大きな台風がゆっくりと日本に近づいてきていて、どうか被害が大きくなりませんようにと祈るばかりです。

私たちも出来る限りのことをして備えましょう。

 

 

昨日、インスタグラムに夫婦椀のお直し事例を投稿しました。

 

投稿した文章
***************************
日本人の暮らしの中で漆器といえば、お椀はとても身近なもの

例えば、お味噌汁のお椀を毎日一回使うと仮定すると

一年で365回
単純に考えて10年で3,650回
使うことになります。
それだけ使い続ければ、どんなに大事に使っていてもどこかしらは傷んできますよね。
それも、ほとんど熱いお汁を注いでいるのですから、外側よりも内側のほうが傷みは早く来るはず。
お客様からご依頼を受けるお椀は、10年どころか15年、20年と長く愛用されているものも少なくありません。
こうして長い年月、暮らしを共にしたお椀に愛着も沸き、塗り直してまだまだ使いたいと思われる気持ちはとてもよく分かりますし、自然なことだと思います。
****************************

お椀の寿命ってどのくらいなんでしょう?

生きてる間に、自分の味噌汁椀って何個使うのかなぁとぼんやり考えました。

 

お椀に限らず、食器を購入するとき(または贈り物でいただくとき)は、引っ越しだったり、結婚だったり、人生の中で何かしらの節目の時が多いのかなと思います。

あとは、

傷んでしまって新しく買い替えたいと思った時

誤って落としてしまって割れた時

などが買い替えるきっかけになりますね。

※それでも捨てられない、まだまだ使いたいと思われている方のお椀を修理するのが私たちのお仕事です!

 

今使っているものがあれば、もう一個買い足そうとはなかなか思わないです。

 

そう考えると、2,3個(どんなに多くても5個ほど)といったところでしょうか。

 

 

ここでふと思ったのですが、私の場合、車の買い替えのほうが、お椀の買い替えより短いスパンだなぁと(笑)

比較するのも変な話ですが、何百万もする車より、1万円もしないお椀のほうが長く使っているんですよね。

 

仮に1万円のお椀を10年使ってるとしたら、1日あたりに換算すると3円足らずで、そう考えるとなんと安上がりなこと!という感覚に陥りました(笑

5,000円のお椀だったら、10年使って、1日あたり1.5円にもならない。

 

傷んできたら、塗り直すことで、まだまだ使えます。

 

気に入って使っているものは、一生使い続けられるのが”塗り直し可能な漆器”の利点なのです。

 

ただし、塗り直す場合は、期間が何か月かかかるということと、漆がしっかり乾くまで半年以上かかるということもあるので、多めにみて一年位は使えないと考えると、お椀の予備が必要になってきます。

 

そう考えると、普段から2つくらいを自分のお椀として使うのが理想ですね。

 

お椀の種類、使う頻度、普段のお手入れなど、違いがあるのでお椀の寿命は一概に何年とは言えませんが、10年は充分に使えるお椀を手に入れて、それが直してでも使い続けたいと思えるようなお椀だったら、とても幸せなことだなと思います。

 

 

 

お椀のお手入れについて

漆器のお椀やお皿などお直し品をお届けするお客様には漆器の手引書というものを同封していまして、その中に日頃のお手入れを記しています。

 

 

日頃のお手入れ

 

・食器用洗剤を柔らかいスポンジにつけて、普通に洗ってください。

 ご飯粒などがこびりついた場合は、ぬるま湯に5分~10分ほど浸けておくと汚れが浮き上がってきますので、スポンジで軽く洗っておとしてください。

 ※長時間浸けないでください

 

・洗い終わったら、なるべく早く柔らかい布巾で水滴を拭きとることをおすすめします。

 拭きとる手間が美しい艶のある器を育てます。

 

・使ってはいけないもの

 金属たわし、たわし、スポンジの硬い部分、クレンザー、漂白剤など

 

汁椀など通常お使いになる漆器製品はそのまま他の食器と同じように食器棚に保管してお使いください。

 ただし、陶器など堅い食器と一緒に重ねないでください。

 

・食器洗浄機、乾燥機、電子レンジなどでのご使用は避けてください。

 

 

 

 

ここからは個人的な意見として・・・

最近では食洗機対応の漆塗りのお椀も販売されていますが、漆塗りは基本手洗いが一番だと思っていますし、そのほうが長持ちすると思います。

お椀を食洗機に入れて使うのであれば、割り切って化学塗装の食洗機対応のお椀を使うほうがいいのではないかと個人的には思っています。

また、食洗機対応のお椀を漆で塗り直してお使いいただく場合は、ほぼ食洗機対応ではなくなります。

なぜならば、欠けやヒビなどに下地の漆の錆を埋めるなどすると、その作業工程自体が食洗機対応ではなくなるからです。

ご注意ください。