· 

竹箸に拭き漆(摺り漆)

漆塗りの技法で「拭き漆(または、摺り漆)」という技法があります。

拭き漆については、今までにも紹介していますが、読んで字のごとく「漆を拭いて(摺り込ませて)仕上げる技法」です。

 

拭き漆は、木地に漆を浸み込ませ、拭きとることにより一度の工程で0.02~0.03mmの厚みが出るようです。

<生漆を塗って⇒乾かして⇒研磨して>

この工程を漆の艶が出るまで何度も(大抵は5,6回)繰り返し行います。

 

※木目を活かしたい場合に適した塗りで、漆器修理でも曲げわっぱ弁当箱やお椀など頻繁にご依頼いただいてます。

 

現在、修理品で拭き漆を施すことが毎日のようにあり、その作業を終えた際に多少の生漆が残るのですが、残った漆を在庫として持って入た竹箸に塗ってみました。

毎日、塗れるだけのお箸に塗って、乾かしておくのです。

 

せっかくなので、木地の状態から6回まで塗ったお箸をサンプルとして作り、塗り重ねることでどれだけ色が付いてくるのかを比べてみました。

 

 

 

 

工程ごとの状態で並べてみました。

 

向かって左が木地のまま、順番に拭き漆1回目、2回目、3回目・・・

向かって右が拭き漆を6回施したお箸です。

 

劇的に変わるのは、最初の1回目ですが、あとはそれなりに色づいていく感じですね。

1回目から3回目までは素材に浸み込んでいくというイメージで、

4回目からは、漆の艶がどんどん増すといった感じです。

素材の竹にも漆にもどちらにも抗菌効果があり、口に入れる用途のお箸としてはとても適したものですね。