漆器の修理で、色と艶を合わせるというのはなかなか大変なことです。
色でいうと、漆の朱は特に難しいなと常々思っています。
朱色といっても、黒っぽい朱、鮮やかな朱、黄色みがかった朱などいろいろあり、
部分的に直す場合、すごく悩む時があるのです。
仮に、同じような朱色だったとしても、
漆は経年変化を起こして明るくなっていくので、
そこがまた厄介なところなのです。
以下、漆の朱色の違いを写真で比較してみました。
【銀朱】
黒っぽい朱の色
透け感が出るので、年月を経て角の部分などに下地の黒が透けてf:刷毛のように見えてくるのが味わい深い
つや消しの塗り
※写真は塗って間もないので、もう少し明るく変化していきます。
【赤口朱】
最も一般的とされる漆の朱
鮮やかで、艶がある
【半々朱】
赤口朱より明るく、淡口朱より暗い朱
※調合して作っている
艶がある
【淡口朱】
オレンジがかった朱
明るく、可愛らしい印象
艶がある
このほかにもあるのですが、職人によって使う漆の色は違います。
自ら色を調合する職人もいますし、色というのは本当に難しいです。
一番近い漆の朱に更に調合して色を作るという事もありますが、私たちはこの4種類から一番近いものを選んで塗り直しています。