きれいな家の中や仕事場
この産地の職人さんは、家内工業で仕事をされている人が多いので、家の一部が仕事場として作られていたり、仕事場が離れに作られていたりといった感じです。
そんな職人さんたちの仕事場は、請け負っている漆器物があふれている割にさっぱりと綺麗にしてあるなぁという印象のところが多いのです。
ある漆塗りの職人さんのお宅は、埃一つも落ちていないんじゃないか?!と常々思っていて、
「いつ来ても、掃除がすごく行き届いていて凄いですね~」
と奥様に話したことがあるのですが、
「いえいえ・・・」
と謙遜されながらも、毎日の掃除について少し話してくれました。
それによると、掃除は、毎日早朝、まず漆塗りの仕事場からきれいに雑巾がけをすることから始まるそうです。
それから、朝ご飯、そして仕事にかかるということでした。
朝昼晩の食事の時間もほぼ毎日同じで、毎日の生活リズムがしっかり出来ているなと感心しました。
漆の臭いを消すために
漆は独特の臭いがあります。
良い匂いというより、どちらかというと鼻につくような臭いです。
実際、それほど気にはならないのですが、漆の臭いが衣服や身体に多少でもうつるのを嫌う職人さんもいます。
そういう職人さんは、仕事を終えて出かける用事があるときは必ずお風呂に入ってから出かけるそうです。
近くに「ラポーゼかわだ」という温泉施設があり、その職人さんは、時間があれば、家のお風呂より「ラポーゼかわだ」を利用するんだと言ってました。
産地内行き来する程度なら、わざわざお風呂に入ってから出かけることはしないそうですが、河和田から外に出るときは自分の臭いが気になるそうです。
話を聞きながら、なんと几帳面な!と密かに思いました。
奥さんと二人三脚
家内工業のお仕事で、ご主人が職人さんの場合は、職人さんの奥様が助手的な感じで一緒に働いているというところも多いです。
職人であるご主人が家で仕事をしていて、奥さんが商品を拭いたり、包装したり、配達したりといった感じです。
河和田の女性は、家事に仕事にと、よく働くなぁと昔から思っているのですが、奥様あっての職人さんの働きだとつくづく感じることが多いです。
時代の変化によって、生活のパターンだったり、仕事の仕方は変わっていくと思いますが、河和田の職人さんの暮らしぶりはあまり変わってほしくないなと思ってしまうのは、見て聞いて心が温かくなるからかもしれません。