漆器修理の期間はどれくらいかかるの?
漆器の修理は、修理の仕方などで仕上がるまでに早くて2週間~半年くらいかかります。(下手すると半年以上かかる場合も!?)
私たちはお客様から大切な漆器の品を預かって、「3~4ヶ月ほどかかります。」とお伝えすることが多いのですが、実際いろんな事情でそれ以上かかることもあります。
3~4ヶ月待って私たちから何の連絡もないと、お客様はとっても心配ですよね。
仕上がりが遅れる場合は、こちらから連絡しなければいけないのに連絡することを忘れてしまうことがあります。
楽しみに待っていて下さるならなおさら申し訳ないことです。
そんなわけで、私もかなり反省の意味を込めて、仕上がりが遅れるのはどういう事情なのかをまとめておこうと思います。
仕上がりが遅れる事情
- 作業工程のついでを待っている
修理の納期が遅れる一番の原因です。
一般のお客様からお預かりする漆器は、量があるわけではありません。
お椀1個からでも修理を承っています。
ただ、あまりに少量だと、漆の無駄ができたり、時間の効率を考えるとかなりの手間になったりと、それだけを修理するということができない場合が多いのです。
また、漆器修理専門で行っている職人はおりませんので、通常の作業工程のついでに挟んでもらって修理をしてもらっています。
ですので、同じような工程を待つタイミングが良ければスムーズで、思ったより早く仕上がってくる場合もあるのですが、タイミングが悪いとかなりお待たせすることになるのです。
- 最後の工程の上塗りを仕上げた後に、元の下地の剝がれがヒビとして出てきた!
漆器の修理は、ある程度予想してはいても、想像以上に内側の傷みがひどい場合があります。研いでみたら木が腐っていたとかもありました。
上塗りまで仕上げた後に、下からのヒビが出てくることもあり、また最初の工程からやり直しということもあるくらいです。
一番気をつけないといけないなと思ったのは、昔々の漆器で、ずっと使っていなかったものを塗り直して使えるようにする修理の例です。
実は、以下のようなことがありました。(こちらは送った後に起こった例ですので、仕上がりが遅れる事情とは異なりますが。)
きれいに塗り直してお客様に送ったあとに、ヒビが生じたとの連絡をいただきました。
職人に確認すると、これは元の下地の劣化によって起こったものだろうということでした。
というのも、ある程度下地が残っている部分は、その下地を活かして中塗り・上塗りという工程作業になるのですが、元の下地の劣化がどの程度かは正確にわからないのです。
もちろん、下地を全部取って最初からやり直せばいいことなのでしょうが、かなり手間代がかかってしまうので、預かったときに下地が残っている場合は、それを考慮に入れて見積もりをしているのです。
- ヒビ修理の漆器の場合、仕上げた後に、うっすらとヒビが映ってきた!
重箱やお盆など、ヒビがかなり入っている漆器モノを直すことがよくあるのですが、その場合は、ヒビの部分にコクソ漆を埋めて平らにして上塗までかけて仕上げます。
塗ってすぐは、ヒビがどこかわからないくらいにきれいに仕上がったように見えるのですが、漆が落ち着いてくるとうっすらとヒビの場所が映ってきます。
これは、実際どうしようもないことなのですが、職人にしてみると少しでもわからないように仕上げてあげたいという思いがあるようで、何度も上塗りをかけてくれるため、多少仕上がりが遅くなるということがありました。
仕上がりが遅いなと心配な場合はお手数でもご連絡ください!
「連絡もらった納期より遅い」とか「今どんな状況だろう?」と疑問に感じていらっしゃるお客様は、どうぞご連絡ください。
その時に分かる範囲でお答えします。
お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします。