以前より「漆器は修理ができる」ということが知られてきたように感じます。
それといのも、朝ドラ「まれ」の影響が大きいのかもしれません。
今年は、「まれ」を見て、漆器は修理できると知ったので・・・というお問い合わせを何件もいただきました。
漆器修理のご相談をいただく大半が、かなり漆が剥げていたり、欠けやヒビがあるといった具合で、いわゆる重症の漆器が多いのが実情です。
この重症の状態で修理するとなると、費用がどうしても嵩張ってしまいますし、場合によっては修理不可能なことも!?
では、どのタイミングで修理するのが理想なのでしょう?
漆器修理するタイミング
以下、私なりに考えてみました。
- 角の部分がやや剥げてきたかな~と感じる
- 漆のつやがずいぶんなくなってきた頃
- ほんの少しのヒビを見つけた時
- 剥げてはいないけど、漆が痩せて木の目がほんのり見えると気づいたとき
漆器は漆が剥げていなければ、または、ヒビなどなければ、修理しようという気はおきないのが普通です。
購入金額が比較的安いものであれば、おそらく処分して新しいものを買うことになるでしょうしね。
結婚お祝いにお友達からいただいたものとか、おばあちゃまやお母様から受け継いだものとか、自分がとても気に入って買ったものなどは、愛着の度合いも違ってきて、ずっと大事に使いたいと思うものは、以上のような早めのタイミングで修理を考えることをお勧めします。
人間の歯に例えてみると・・・
私の主人が先日言っていたことで、たまには良いこと言うなぁと思って感心したことがあります(笑)
漆器修理のタイミングは、歯の定期健診に例えることができるんじゃないかって。
歯は人間にとってとても大事なものです。
できれば、一生自分の歯が残っていてほしいと誰もが願っているはず。
そのためには、歯医者さんで最低でも年に1度の定期健診をすることが望ましいですよね。
例えばの話、もし定期健診を怠って痛くないから大丈夫なんて安易に考えて過ごして、小さな虫歯ができていることに気付かず放っておくと、痛くなったときには取り返しのつかないことになってしまって自分の歯を抜くことになるような事態も考えられます。
眼にはみえないところで、歯の病気が進行しているかもしれないのです。
それと同じように、漆がかなり剥げてからよりも、ずいぶん艶がなくなったなぁくらいのタイミングのほうが、漆器への負担も少なくて修理もしやすいです。
お味噌汁椀とか毎日のように使うものは、少しずつどこかしらが剥げてきたり艶がなくなってきても、毎日使っているからあまり気にならないんです。
あ~、少し艶がないかなぁなんてあまり思わない。それは、一気に艶がなくなるわけではなく、徐々になくなっているから。たとえば、そこに同じお椀の新品を並べてみると、一目瞭然ですが、新品のお椀がない限り、艶がないのも当たり前のことなんです。
もし、あなたが毎日使っているお味噌汁椀が、漆塗りで本当に気に入っているものなら、一度よーく見てみてください。
たまに、じっくり状態を眺めてみるというのも、いいんじゃないでしょうか。
とはいっても、なかなかそんなタイミングで修理はこないんですけどね。(^ ^;