鹿児島県 I様よりご依頼いただきました。
亡くなったお母様のお嫁入り道具の一つだった重箱をI様が譲り受けたものだそうです。
お友達に貸したところ、はずみで落してしまいヒビなどが入ってしまったということで、元通りに直してほしいというご希望でした。
修理前
重箱を納める枠がかなり割れて傷んでいました。落した際、かなりの衝撃があったのだろうと推測できます。
枠の上には蒔絵がはいっているので、この蒔絵部分だけ残して、外側をウルミ色、底を黒に塗りかえることになります。
重箱の身の内側ですが、こちらは落して割レてしまったこととは別で、おそらく以前から漆がはがれかかっていた状態だったと思います。このように剥げてしまっている場合は、このまま使うと水分が入り込んでしまうため、傷みも進みます。内側全体を塗り直して、より丈夫にすることをお勧めしています。
写真には写っていませんが、重箱の身の底部分もかなり剥げていたので、蒔絵の側面部分を残して、内側と底を塗り直すことになりました。
修理後
上部分を残して塗り直した重箱の枠が仕上がりました。
塗っていない部分と塗り直した部分の漆の色がはっきりわかります。
ヒビなどはすべて埋めて、表面は平らで、漆の美しい輝きがあります。
内側はきれいに塗り直しましたので、これから安心してお使いいただけます。
内側と外側の朱の色も違いますが、枠の部分塗りから比べるとあまり気になりません。
セットすると引出弁当のようなお重箱セットで、とても可愛いですね。
【今回の修理期間は?】
約4ヶ月
【今回の修理費用は?】
約40,000円
(注) おおよその修理費用としてご紹介しておりますが、修理の方法の他、年々材料費の高騰により変化してます。
ご依頼いただく際はその都度お見積りさせていただきます。ご了承ください。