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修理の問い合わせで判った曲げわっぱ弁当のトラブルとは

【最近人気の曲げわっぱ弁当箱】

曲げわっぱ弁当箱、ここ数年とても人気が高いようですね。


個人的に楽しんでいるInstagram(写真画像を共有する無料のソーシャルメディアネットワークサービス)でも、曲げわっぱの弁当箱にお弁当を詰めて投稿されている写真がすごく多くて、しかもプラスチックのお弁当箱に同じお料理を詰めるよりも断然美味しそうに見えるような気がします。木の力って凄いなってつくづく思います。


お弁当の見た目が良いという他にも、ご飯が冷めても美味しいという感想があったりすると、少々高くても自分用の(または家族用に)わっぱ弁当が欲しい!!!なんて、つい思っちゃいますよね。



【わっぱ弁当のトラブル】

盛りつけが素敵だし、ご飯が美味しいのならぜひ使ってみたい!そんな風に考えて買われた方も大勢いらっしゃるでしょう。

しかし、わっぱ弁当の使い勝手やお手入れなどで、天然の木ならではのトラブルもあるようです。


ここであらかじめ断っておきたいのは、残念ながら私自身が使っているわけではないので自分事としてここに書けるわけではありません。その点はご了承ください。


わっぱ弁当の修理に関していままでにどんな相談や問い合わせがあったのかというと、


  1. 白木のわっぱ弁当にカビが生えてしまった、またはシミができた
  2. 隙間が空いてしまった
  3. 漆(塗装)が剥げてしまった
  4. 塗装の臭いが気になる


それで、私なりにいろいろ調べたことを上記のトラブルの観点からまとめてみたいと思います。


1.白木のわっぱ弁当にカビが生えてしまった、またはシミができた

わっぱ弁当のカビ、シミ
わっぱ弁当のカビ、シミ

単に白木のわっぱ弁当を考えた場合、メーカーもいろいろありますし、国産・輸入商品などさまざまです。お値段も安いものは2,000円台くらいから高いものは10,000円以上するものまで。一般的に国産商品は輸入商品よりもお高めです。


では、なぜカビが生えるのか?


原因は、お弁当箱の中が無塗装(木地のまま)だから、そして、しっかり乾燥していないからです。

ご飯を入れるのであれば、木が水分を調節してくれるので無塗装が理想的ですが、毎日のお手入れはちょっと面倒です。少しの時間、水またはぬるま湯に浸しておいて(長時間水に浸すのもあまりお勧めできません)、柔らかいスポンジなどできれいに洗って、しっかり乾燥(←これが大事)する。

理想を言うと、わっぱ弁当を二つ持って、一日置きに使うとしっかり乾燥できて良いかもしれません。



なぜシミができるのか?


間違いなく、無塗装だからです。シミが気になるなら、無塗装のお弁当箱はなるべく使わないことをお勧めします。



●秋田杉のお弁当箱メーカーさんに聞いた話

カビやシミに関する問い合わせが多かったので、ある秋田杉のお弁当箱を作っているメーカーの方と少しお話する機会があったので、白木のお弁当箱について聞いてみました。

 

そのメーカーさんでは、わっぱのお弁当箱の内側はすべてウレタン塗装を施しているそうです。ご飯は無塗装がいいことは分かってはいても、カビやシミなどのトラブルも多く使い勝手のことを考えて塗装を施しているということでした。

ということは、カビやシミが防げるけれど、残念なことに、実際ご飯の水分を調節してくれるはずの木の利点がなくなっているということです。

 

もちろん、メーカーさんによっても違うとは思いますので、わっぱ弁当を購入される際には、塗装が施してあるのかどうかも、一つのポイントとして考えてみてください。

 

 

2.隙間が空いてしまった

隙間があいたお弁当箱
隙間があいたお弁当箱

これは、国産商品よりも輸入商品に多いトラブルだと思います。


また、木は天然素材ですので、十分に乾燥していないものを使うと形が多少動くということもありますし、すごく長い間使っていて隙間が空いたのであれば、ごく自然なことかもしれません。


3.漆(塗装)が剥げてしまった

塗りものの運命といってしまえばそれまでですが、フライパンのフッ素加工がだんだん効き目が無くなるように、使っていくうちに塗装が剥げるというのは普通のことです。

 

ただ、修理するとなると塗装の種類や剝げかたによって費用がずいぶん変わってきます。

以前にもこのブログのどこかで書いたかもしれませんが、

 

元々拭き漆仕上げのお弁当箱を拭き漆仕上げ修理するのは比較的楽で、費用もそれほどかかりませんが、

元々ウレタン塗装仕上げのお弁当箱を拭き漆仕上げ修理するのは手間がかかり費用も高くなります。

 

なぜなら、ウレタン塗装の上に、拭き漆を施してもはじいてしまうため、ウレタン塗装を全て綺麗に取り除いてしまう必要があるからです。

 

4.塗装の臭いが気になる

お弁当箱に使うウレタン塗装は、食品衛生上、安全な塗料を使っていますが、ごくまれに塗装の臭いが鼻につく場合があります。

特に、熱いご飯を入れると臭いが強く感じる場合があります。

これも、使っているうちにごはんやおかずの匂いが移って徐々に薄れていく場合がほとんどです。

 

 

【優先順位を決めて、自分に合ったお弁当箱を選びましょう】

天然の素材ならではのトラブルはつきものですが、

 見た目が重視なのか

 ご飯の美味しさが重視なのか

 お値段が重視なのか

 使い勝手が重視なのか

 

人それぞれ、自分の価値に合ったお弁当箱を選んで、楽しいランチタイムを送りたいですね。

 

ちなみに、私がこれからわっぱ弁当を買うとするなら、

形は角がなくて洗いやすい小判型で、白木も捨てがたいですが使い勝手と抗菌効果を考えて拭き漆仕上げのお弁当箱が良いかな。