拭き漆のこと
わっぱのお弁当箱やお椀など拭き漆修理仕上げのご依頼がここのところ続いています。
拭き漆をする場合、生漆(きうるし)というもので拭いて乾かして、拭いて乾かして、というのを何回か繰り返すのですが、色は透けた茶色(飴色)で仕上がります。写真のお椀のような風合いです。
写真のような色合いで(木の質にもよるかもしれませんが)、もう少し濃かったり、薄かったりといった多少の差はあります。
拭き漆を黒っぽく仕上げたいという場合は、単純に黒の漆で拭けば黒くなるのか?というと、そうでもないようです。
今朝、職人さんのところで見せてもらったのが↓
黒の漆で2回ほど拭き漆をかけたお盆。
真っ黒ではなく、こげ茶にしかならないようです。
あと何回か拭き漆を施すともう少し黒くはなっていくと思いますが・・・
やってみないとわからないことが多いのです。
では、黒の拭き漆にしたい場合はどうするのか?
今現在そのようにお願いしているものがありまして、いろいろ相談している中で、最初に下地を施してその上に薄く黒漆で塗ろうかということになりました。
修理に関しては、最初の状態も一つ一つ違いますし、そのたびに職人さんと相談しながら一番良い方法は何かを考えて進めています。
単に拭き漆といっても、仕上がった時のモノの表情は一つ一つ味のあるものに仕上がっていくのは、少々不安な面もありますが、楽しみなことのほうが断然多いです。