修理前の写真と説明
茨城県S様より御依頼いただいた家紋入り文庫の修理例を紹介します。
全面に菊の印刷が施され、蓋の表面と側面に大きな家紋が二つずつ入っています。側面の家紋二つはこのまま残しますが、表面の二つはずいぶん金が剥げているので、きれいに本金蒔絵(消し蒔絵)で仕上げることにしました。
渕の部分すべて金が施されているのですが、金が剥げて下地の茶色っぽい色が残っている状態でした。こちらもすべて本金蒔絵(消し蒔絵)で仕上げることになりました。
※ちなみに、本金蒔絵を施す前にまずすべて黒の漆に塗り替え、その上に蒔絵を施します。下地を綺麗にすることで、仕上がりが綺麗になります。見えないところにひと手間もふた手間もかかるのが漆器修理の難しいところです。
また、全体的に汚れがあり色がくすんでいましたので、菊の印刷が取れないようにきれいに磨き拭きすることにしました。
本体の裏側(底)一面は、黒漆で塗ります。
修理後の写真
金蒔絵を渕の部分に施しただけでも、ずいぶん印象が変わりました。
今回修理にかかった時間は?
- 約3ヵ月
今回の修理費用の目安は?
- 約8万円
本金をどれだけ使うかで修理費用がずいぶん違います。