義母愛用の鎌倉彫手鏡と菓子皿
神奈川県に住む義母愛用の手鏡と菓子皿。遠い昔、知り合いの鎌倉彫職人さん(女性)から購入したものだそうです。その職人さんも今はもういらっしゃらないらしく、ヒビや欠けがある部分を修理できないか?と相談がありました。
鎌倉彫といえば独特のもので、越前漆器の職人が持っている技術とは全く違うものです。預かってきたものの果たしてできるのかどうか?
もしかすると、全然違う仕上がりになって、風合いががらっと変わるかもしれないということだけ伝えました。それでもいいということだったのでこちらの職人さんにお願いすることにしました。
修理前の状態は?
手鏡は、真ん中あたりにヒビが入っていました。使い込んでいるだけあって、全体的に剥げていたり、艶がなくなっていました。
菓子皿は、言い方は悪いですが、こんなに割れてしまったものをまだ使うの???といった状態でした。一部欠けている部分は、木工屋さんでそれなりの形を作ってもらって接着しました。(白い木の部分)
えっ?!と叫んでしまった。予想以上の出来栄えに感動☆
今回ばかりは、修理も難しいだろうと思っていました。正直言って、どんなふうに修理されるのかも想像できなかったくらいです。
何ヶ月か経って、仕上がってきた時に、えっ?!と思わず叫んでしまいました。だって、予想以上に本当に素晴らしく修理されてきたから・・・
まずは、手鏡から
ヒビが入っていた部分は元の色合いに近い漆で丁寧に埋めてくれました。全体的に漆で拭いて艶のある美しい手鏡になったと思いませんか?!
菓子皿の修理も・・・
手鏡もさることながら、この菓子皿にいたっては、こんなに復活するんだ!って感動してしまいました。本当、職人さんって凄いです。
だって、あんなにヒビが何箇所も入っていて見事に割れていた菓子皿が普通に使えるものになっているんですもの。
表は、よーーーく目を凝らして見ると、ヒビが見えますけど、使うには十分すぎるくらい。裏は同じような色合いの漆でヒビを全部埋めてくれて丈夫になっています。全体的に漆で拭いて艶のある美しい菓子皿になりました。
本当なら鎌倉彫の職人さんを探して修理してもらうのが一番良いのかなとは思うんです。
これは修理するのは無理なんじゃないだろうか?と思う事もたびたびあるんです。今回もそうでした。でも、一生懸命修理してくれた越前河和田の職人さんに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
修理品が仕上がってきて、いつも思う事
漆器を修理したいと依頼される方は、買った当時やいただいた当時の想い出、永く愛用してきた想い、両親・祖父母の想い出などそれぞれに御自身のストーリーがあり、それをとても大切にされているという事です。
「割れたから捨てる」という選択肢もあるかもしれません。その方が断然多い世の中だと思います。だけど、あえて修理したいという想いは私たちの想像以上に大切なものがぎっしり詰まっているんだなぁっていつも教えられます。
私はこの漆器修理という分野は深くてまだまだわからないことだらけなんですけど、ここで出あうお客様は心優しい方ばかり。そして面倒な修理に携わってくださる職人さんは腕もよく気の良い方ばかり。
私の仕事内容は、漆器修理以外でやるべきことがたくさんあるのが現状なのですが(実際まだまだ修理例を掲載できていないという現実です。修理例掲載の了解を承諾していただいているお客様方、すみません!)、このサイトがやる気の源になっていることは間違いありません。
またひとつ、感動をいただいた今回の出来事でした。