兵庫県 S様よりご依頼
6.5寸(19.5cm角)足付の二段重を修理させていただきました。
外側全面にシダの葉が印刷されていて、「福」の文字は銀色で印刷、「寿」は螺鈿(らでん)仕上げです。
重箱の修理前の状態
重箱の本体に一本ヒビがはいって、隙間があいていました。
ヒビが入った重箱の裏側の状態
側面にヒビが見えているので、表側の部分修理が必要です。
重箱のフタの裏側もところどころ漆が剥げて木肌が見えています。
フタも本体二つとも、塗ってずいぶん経っているため漆が痩せている状態でした。
【修理内容】
本体:
ヒビの部分は埋めて平らにし、内側から天渕のぶぶんまでと底の部分は全部塗り直しすることになりました。
外側までヒビがある部分に関しては、部分修理をすることになったのですが、その周辺のシダの葉の印刷はなくなることをご了承いただきました。
福の文字も途中で切れてしまうため、塗り修理が終わったあと銀蒔絵で福の文字を書いて復元することになりました。
フタ:
裏側全部、塗替えました。外側の傷んでいる部分(特に角の部分)も部分塗りすることにしました。こちらもシダの葉が一部消えてしまう事をご了承いただきました。
漆塗替え修理まで終了
約4ヶ月後に塗り替え完成しました。
手前の福の文字がやや切れています。朱の漆の色が違っている部分が塗り替え修理した箇所です。徐々に明るく色が変わってくるのですが、塗りたては「つぎはぎ」が目立ちます。
内側も底の部分もヒビを埋めてきれいに塗り替えられ、漆の艶が美しい仕上がりです。
福の文字を蒔絵で描いて完成!
「福」の文字を入れて完成です!
これで、ヒビもなく、安心してご使用いただけます。
今回の修理期間は?
☑ 約4ヶ月
今回の修理費用は?
☑ 約25,000円
S様よりお手紙をいただきました。
先日、お重箱を受け取りました。
きれいに修理され、美しく塗られてつやつや光っているのをみて、とてもうれしくなりました。修理あとはわかりますが、気にならないほどていねいに仕上げて下さり、技術の高さに感動しました。
これまであまり塗り物に興味がなく、とり扱いがめんどうそうだと思っていましたが、今回愛着を感じ、これからは塗り物をとり入れていきたいと思っております。
来春ごろから、亡き母や祖母を思いながら、大切に使いたいと思います。
本当にありがとうございました。
☆ S様、どうもありがとうございました。