年明けに、数件のお客様から緑の漆で塗られた漆器の修理に関するお問い合わせをいただきました。
黒・朱・溜(ため)というのが一般的ですが、緑は朱合漆に緑の色粉を混ぜて作ります。
以前は、職人さんたちそれぞれが自分で漆を調合して作っていたそうです。現在でもいらっしゃるのかもしれませんが、いろんな成分の規制があるため多くの職人さんは漆店の漆を買うようになったようです。
自分で作っていた頃は、大きなすり鉢で2時間くらい混ぜあわせたそうです。ある職人さんのお宅では、すり鉢の作業は奥さんの仕事だったと聞きました。
2時間もずっと混ぜるとは、それは大変だったことでしょう。混ぜれば混ぜるほど色粉が漆に馴染み、仕上がりの美しい漆になっていくそうです。
緑の漆も以前はこうして作っていたのです。
ところが、ある成分に規制が入ってからというもの、以前使っていた色粉が使えなくなり、今販売されている色粉だとどうも漆に馴染まなくて、仕上がりが納得いかないものにしかならないらしいのです。
現段階では、まだ色々試しているそうです。
そんなわけで、今回は緑色で塗り修理をするというのは、お断りするしかありませんでした。
近い将来、なんとか美しい緑漆の塗り上がりが実現するといいのですが。
2016年5月追記
緑の漆を扱う角物師さんがいらっしゃいました。
お椀は塗り直しできませんが、重箱やお盆などは塗り直しができる場合もございます。