これは一体なんだかわかりますか?
木でできていて、穴があります。
正解は、刀のさやでした。
今年の一月、木製の刀のさやを漆で塗ってもらえないか?というお問い合わせをいただきました。
刀のさやを塗ってほしいと依頼は正直初めてのことでした。もちろん木なら漆で塗ることは可能だろうとはおぼろげに思いました。
早速職人に確認したところ、今までにもいくつか塗ったことがあるそう?!
この産地で刀まで塗っているとは、私も初耳でした。
ご依頼いただいた和歌山県在住のM様は、もともと東京生まれの方で、昔は刀を作っている職人さんがいらっしゃったそうです。この刀も東京の職人さんが作られたそうですが、漆で塗ってくれる職人がいないということで当社にお問い合わせをいただいたのです。
この刀を、「赤」で塗って欲しいというご注文。約4ヶ月かかり、ようやく仕上がりました。
左写真:漆黒の部分は「栗形のしとどめ」という名称らしいのですが、最初電話で聞いた時、専門用語がさっぱり分からず、クリガタノシトドメ???一体何???といった具合でした。
全体を漆の赤、栗形のしとどめと刀の先の部分を漆の黒に塗り分けることで、コントラストが美しい仕上がりになりました。
漆独特の美しい艶に、見惚れてしまいます。
まだ塗りたての状態ですので、徐々に赤色が鮮やかにでてくることでしょう。
M様、ずいぶんお待たせいたしました。ご注文ありがとうございました。