これは、漆器修理に使うへらです。
当社は、祖父の代まで木製の八十椀の製造に関わってきたので、このようなへらがいくつか残っています。
お椀を修理する際、必要になってくる道具のひとつが、「へら」。
先日、丸物師の職人さんに、へらの先端部分をメンテナンスしてもらいました。
へらの先がしなるようになっているもの、へらの先が堅いもの、いろいろありますが、適材適所で使い分けています。
お椀のようにRがあるものは、Rに沿ってしなる「へら」が必要です。
写真のように色が変わっているところが「へら」で凹凸を平らにした部分です。
漆の1mmもない凹凸を、へらを使って錆付けし、研ぎ、また錆付けし、研ぐということを繰り返して平らにしていきます。
この工程をおろそかにすると、仕上がりは凹凸が残ってしまいますので、手間がかかる部分でもあり、仕上がるとまったくわからない部分でもあり、大事な工程でもあります。
何をするにも基礎が大事といいますが、漆器製品も基礎が大事だなと改めて思います。